あてはめにくい条文(倒産法編)
個人的にあてはめにくい条文について,どのように要件を区切るとあてはめやすいのかをまとめています。
ここでは倒産法の条文についてまとめます。
※随時更新予定です。
破産法71条1項2号
二 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し,又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって,当該契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていたとき。
①支払不能後の債務負担(「支払不能になった後に……破産者に対して債務を負担した場合」)
②債務負担の態様
その1:財産処分契約+専相殺供用目的(「契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結」)
その2:債務引受契約(「破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結」)
③契約締結時の支払不能についての悪意(「当該契約の締結の当時,支払不能であったことを知っていた」)
※民事再生法93条1項2号も同様。
破産法252条1項3号
三 特定の債権者に対する債務について,当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で,担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって,債務者の義務に属せず,又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
①偏頗行為(「特定の債権者に対する債務について……担保の供与又は債務の消滅に関する行為」)
②非義務性(「債務者の義務に属せず,又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないもの」)
③目的(「当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的」)
破産法252条1項5号
五 破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に,破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら,当該事実がないと信じさせるため,詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
①詐術+信用取引+財産取得(「詐術を用いて信用取引により財産を取得した」)
②時期(「破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間」)
③悪意(「破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら」)
④欺く目的(「当該事実がないと信じさせるため」)